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「東京オペラNEXT」は、オーケストラ、歌手、コレペティ、指揮者からなる音楽家集団、オペラカンパニーです。

音楽家は、各人が日々孤独で地道な鍛錬を重ね、観客へ向けた音楽活動を通じて、生涯音楽的成長を追求します。仲間との共演の機会には、互いに刺激を与えあって、ともに音楽を作り上げていくことがその醍醐味です。

当団体は、2023年初頭から月1回程の頻度で実施してきたオペラ歌手とコレペティトゥーアの勉強会に端を発しています。音楽家としてのレベル向上を目指して切磋琢磨する同志です。先生と生徒、先輩と後輩、または年齢といった関係性を超えて、互いに一人の音楽家として率直に意見を交わし、高め合える場というのは実はそう多くないのです。ソプラノ歌手の天羽明惠さんと、プロの音楽家が成長する場の必要性について意気投合して、始めた活動です。

また、NEXT管弦楽団は、2023年に開催された日野市制施行60周年「藝術文化の薫るまちコンサート ベートーヴェン第九」の際に結成されたオーケストラが母体になりました。

オペラという総合芸術を作り上げる演者がそろったオペラカンパニーは、日本では類を見ないと思います。
この最高の仲間たちと共に、皆様に音楽を届けられることを大変うれしく思っています。


私自身の音楽家人生は、優れた指導者との出会いに恵まれてきました。
偉大な恩師、小澤征爾先生が先頃ご逝去されました。小澤先生には、桐朋学園大学時代からご指導いただく幸運に恵まれ、「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」(現:セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF))をはじめ、多くの現場でアシスタントを務めさせていただくなど、間近に先生の音楽を学ぶ機会を得ました。その後、ドイツ・オーストリアへの留学時代には、小澤先生がウィーン国立歌劇場にいらした時期と重なり、ヨーロッパ各地への遠征をはじめ、多くのオペラ製作の現場、またプライベートの時間をご一緒させていただいていました。私の20代は、ほとんどの時間を小澤先生と過ごしていたことになります。
オーストリア・ドイツの歌劇場での活動を経て、帰国後の2016年には、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトにて「こうもり」を、2017年には「カルメン」を小澤先生と振り分けをさせていただく機会を得ました。この時あらためて、先生の音楽への情熱、若手音楽家育成の熱意に間近で触れ、先生の発する一言一句に、猛烈に感動し、感極まるのを必死に堪えるような時間でした。

小澤先生から受け継いだ魂の音楽を、仲間と共に、人生をかけて体現してゆく。そして、次の世代へ~NEXT~伝えていく。そのような思いを新たにしています。


皆様の人生に、オペラの感動がいろどりを添え、より輝く未来を願って
私たちは渾身の力で音楽をお届けいたします。

東京オペラNEXT 音楽監督/指揮者
村上寿昭